2016年1月15日金曜日

麦作緊急技術情報





今後発生が懸念される被害について


 麦の生育が異常に進んでいることから、今後寒波などの襲来により、氷点下近くの低温を受けると次の被害が懸念される。

(1)凍霜害
通常麦類は、冬期に向かって徐々に低温にさらされ、細胞の浸透圧が高まり、寒さに対する抵抗性を増していく。しかし、春に向かって暖かくなり、茎立ちし始める頃になると、その抵抗性は徐々に弱まってくる。
幼穂の分化が進むほど耐寒性は弱くなり、幼穂長が、コムギで3mm以上、オオムギで7mm以上になると凍死する程度が大きくなる(別紙【参考資料】参照)
 通常2月下旬から3月上旬に見られる茎立ちが、今作では、すでに1月で起こっているほ場が見られ、これからの低温による凍霜害の発生が心配される(特に、早播きの「ふくさやか」、「シロガネコムギ」)
(2)病害(黒節病および縞萎縮病)
黒節病は、暖冬で雨の多い年に発病しやすく、初期生育が旺盛な場合に被害が大きくなる。また、秋冬期が暖かく生育が旺盛な年に、幼穂形成期頃氷点下の低温に遭遇すると発病が多くなる。
縞萎縮病は、秋期に気温が高く、春期の気温上昇が遅れるような年に発生が多くなる。また、発生後の低温は、症状の回復を遅らせて、病勢の進展を助長する。


今後の管理


上記被害に対する有効な対策は今のところないが、早播き~標準播きで生育の早まっているほ場では、下記の点に留意して管理を行う。なお、晩播きでは基準通りとする。

(1)施肥
(分施体系)すでに幼穂分化が始まっていることから、極端な葉色低下は避ける必要があり、追肥は施用する。しかし、茎立ちして幼穂が大きくなっているほ場では、窒素成分で2kg/10a以上施用すると、さらに生育を進め、耐寒性が低下することも考えられるため、倒伏助長や病害発生への影響も考慮して、やや減量して施用する(窒素成分で2kg/10a未満)
1月追肥以降は、生育を見ながら分施を基本に、穂肥、実肥の施用時期、施肥量を調整する。
(全量基肥体系)今作では、被覆肥料の溶出が早まっていることも想定されるため、3月に入って葉色の低下が著しい場合は、指導機関と相談の上、追肥を検討する。
(2)排水対策

茎立ちとともに麦は盛んに発根し、根域を拡大していくので、これからの麦は特に湿害の影響を受けやすくなる。また、ほ場が湿気ていると、上記病害の発生を助長させることになる。排水溝の管理を徹底して排水対策に努める。



























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